秘密の部屋に関する


ねえ、クリス・フーリハンを知ってるかい?
ニンテンドーパワー誌のコンテストで優勝した男さ
そして彼の名前が『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』の秘密の部屋に載ってるんだ!すごいだろ?
さあ、この秘密の部屋に行く5つの方法を紹介しよう…

上記の引用は、欧米のDiscordサーバー、YouTube動画、ゼルダ専門のウェブサイト、ブログ記事などで、 多かれ少なかれ似たような形で、よく共有される要素です。 実際には、上記の記述の半分は、誤りであるか、未確認であるか、のいずれかであるということです。

有名な秘密の部屋。一行目のセリフは英語で「私の名前はクリス・フリーハン」が書いています

噂の詳細

クリス・フーリハンに関する噂は、1990年に発行された米ニンテンドーパワー誌のある版のページに基づいています。 このページでは読者向けのコンテストが紹介されていました。このコンテストの目的は、NESの初代『ファイナルファンタジー』で 非常に低い出現率の敵を見つけ、写真を撮って雑誌に送ることでした。優勝者は参加者の中から抽選で選ばれ、 将来発売されるNESのゲームに名前が掲載されることになっていました。ご想像の通り、噂によれば、 クリス・フーリハンという子供がこのコンテストで優勝し、彼の名前が登場したゲームは、もちろん皆さんが愛する 『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』だったというわけです。

ニンテンドーパワー誌のページ

ここまでは素晴らしい話ですが、客観的に見ると、何の具体的な根拠もないことが明らかになります。 まず、ゲームの名前、あるいはシリーズ名さえも一切言及されていません。したがって、 優勝者はどのゲームに登場してもおかしくありませんでした。さらに、NESゲームへの言及があります。 しかし、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』プロジェクトは当初NESゲームになる予定でしたが、 その方針がスーパーファミコンに変更されたのは1989年、つまりこの雑誌が発行される少なくとも1年前のことです。

コンテストの規則には、結果は勝者に郵送されると記載されています。したがって、 結果は公表されたことがなく、このコンテストと 『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』に登場するクリス・フーリハンの名前を結びつけるものは全くありません。 しかし、その一方で、この噂を完全に無効にするものではなく、語られている通りに出来事が起こった可能性もあります。

部屋へのアクセス方法

噂のもう一つの部分は、秘密の部屋にアクセスするための方法です。いくつかの方法が存在すると示唆しています。 正直なところ、オンライン上には非常に多くの方法や条件が見られますが、全てが信頼できるとは限離ません。 例えば、「教会から出発して3分以内に特定の経路をたどる必要がある」、 「特定のマップを通過する必要がある」、「部屋へのアクセスが機能する穴と機能しない穴がある」など...

さて、この記事を書いている時点(2023年)で、ゲームが発売されてから30年以上が経ちました。 2020年7月のリークによりソースコードが流出し、デコンパイルツールも数年前から存在していました。 つまり、秘密の部屋の正体は、実は何年も前から知られていたのです! 以下に説明させてもらいます。

爆弾を使ってこの穴に飛び込む方法は、秘密の部屋にアクセスする最も有名な方法かもしれません
墓地からここに走れば、十分に速ければ秘密の部屋にアクセスできるとも言われます

まず、この部屋にアクセスする方法が5つあるわけではありません。 10通りも300通りもなく、実際には1つだけです。 秘密の部屋へのアクセスがどのようにコード化されているかに由来しており、実際にはかなり理解しやすいです。

地上で穴に落ちると、ゲームはプレイヤーの位置*を計算します。 目的地を持つ穴の位置と一致すれば、プレイヤーは地下の部屋(家、洞窟、ダンジョンなどをまとめたもの)に送られます。 この目的地の値は各穴によって異なり、部屋と関連付けられています(「RoomID」と呼びます)。

* ここで言う「位置」は、リンク自身の座標ではなく、 カメラの座標によって定義されます。これは後述する内容に重要です。

さて、バグを利用して、穴のない位置で目的地の計算ルーチンを起動してしまったらどうなるでしょうか? この疑問は開発者も抱いており、解決を実装しました。起こるはずのない 出来事のために、デフォルト値(専門用語で「フェイルセーフ」と呼ばれるもの)を設定するのです。 つまり、予期せぬ位置にいるときに誤って目的地の計算ルーチンが起動された場合、 ゲームがクラッシュする代わりに、このデフォルト値によって決定された部屋にリンクを送るのです。

もうお気づきかと思いますが、秘密の部屋がこのデフォルト値に対応しています。 正確には16進数で0x03です。それで、部屋へ行くには、ゲームを欺き、 地上の目的地へ続く穴に対するリンク、正確にカメラの位置を「同期解除」する方法を見つけるだけです。

カメラの同期の解除方法ですが、あちこちで聞かれるような5通りの方法だけではありません。 いくつかの穴に限定されるものでもありません。秘密の部屋には、 地上の全ての穴からアクセスでき、カメラの同期を解除するなら、どの手段でもあります。 以下に、RTAのあるカテゴリーでアクセスするために使われていた例を示します。 4回水に飛び込むことでカメラの同期を十分に解除し、その直後に隣の穴に落ちると、 ゲームが秘密の部屋の値にフォールバックするということになります。

タイムスタンプが機能しない場合は6:57からです

RTAの話ですが、 秘密の部屋に最速で到達することを目指すカテゴリーがあります。 この記事を書いている時点での記録は80秒未満です。

秘密の部屋でもらえる225ルピーを回収し、部屋を出ると、 リンクの家の入り口に戻されます。その場所は偶然ではなく、 リンクの家はゲーム内で最初にアクセスできる地上環境であり、 ゲーム全体を通してアクセス可能です。したがって、開発者は、 ゲームの非常に早い段階で「バグ」を誘発できたとしても、 フェイルセーフの部屋を出るときに、本来いるべきではない場所に移動させられないように配慮しました。

GBA版では?

GBA版では、秘密の部屋はアクセスできなくなったが、 ゲームデータにはまだ存在し、プロアクションリプレイのコードでしか行けないとよく言われます。 実際はどうなのでしょうか?結論から言うと、真実もあるが誤りもあります。 解き明かしていきましょう。

GBA版はSNES版よりも人気が低く、その結果研究もあまりされていません。 そのため、誰かがそのソースコードを逆コンパイルするプログラムを作成する手間をかけたかどうかはわかりません。 しかし、SNESゲーム(8:7)とGBAゲーム(3:2)のアスペクト比の違いから、 カメラに関する部分は完全に再プログラムされたはずです。 前述したように、カメラの位置は秘密の部屋へのアクセスにおいて不可欠な要素であり、 そのプログラムの変更により、カメラの同期解除方法は機能しなくなりました。

とはいえ、GBA版ですべてが変わったわけではありません。もしゲームのRTAを少しでもご存知なら、 Exploration Glitch、またはEG Mapという言葉を耳にしたことがあるでしょう。 ご存じない方のために簡単に説明すると、ほとんどの屋内エリア(ダンジョン、洞窟、家など)は、 一つの巨大なマップ (まさに「EGマップ」と呼ばれるもの)にまとめられており、秘密の部屋もその中に位置しています (私が言及したようにインデックス0x03に)。

EGマップの一部で秘密の部屋(左下)の位置を示しています。ご覧の通り、 亀岩の一連の部屋の隣にあります。このスクリーンショットに使用されているマップには注釈が付けられており、 有名なインデックス0x03を見ることができます。

なぜこの話になるかというと、この配置全体がGBA版でも維持されており、 EGマップもそのまま残っているからです。したがって、カメラの同期解除を通じて 地上の穴から秘密の部屋にアクセスすることはできなくなりましたが、 部屋の遷移を伴う少し複雑なバグを通じてアクセスすることはまだ可能です。 この記事を書いている時点では、私の知る限り、神トラのRTAコミュニティのバグハンターであるたった一人の人物だけが、 GBA版でこういうバグを行い、秘密の部屋にアクセスできたようです。 結論は、秘密の部屋はGBA版でもチートコードやプロアクションリプレイ無しでアクセス可能である。

もう少し内容を詳しく見て見ると、 SNES版の秘密の部屋とは2つの点で異なります。

GBA版の部屋です。上記にリストされた変更点を確認できます。ルピーの上にある青い四角は、 アクションリプレイコードを使用してそこに行ったため、スプライトが正しく読み込まれなかったために表示されています。 SNES版のスクリーンショットとの解像度の違いにも注目してください。

秘密の部屋に本当に隠されているもの

え、秘密の部屋はもう全部見たって思ってましたか? ほぼそうですけど、まだ秘密が一つ残っています 😄。「クリス・フーリハン」の名前は英語版でしか出てきませんが、 日本語版を?

長い間、これはコンテストがアメリカ限定だったため、 他の言語に翻訳されなかった英語版の単なる参照だと思われていました。 しかし、それはオリジナル版がアメリカではなく日本版であることを忘れています! では、日本版ではどうなっているのでしょうか?

まさか…?

初代『ゼルダの伝説』を思い出してみてください。隠された洞窟があり、そこにはモリブリンがいて、 「ミンナニナイショダヨ」という有名なセリフとともにルピーをくれました。 『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』の秘密の部屋とされているものは、 実は有名な「ミンナニナイショダヨ」というセリフへのオマージュでありました。

「秘密の部屋」ではなく、「ナイショ」の部屋ではないですか?